白糠
しらぬか

守り伝えられた奇習

白糠は下北半島の中でも古い習俗を残す集落です。各家の玄関にはワラでつくった厄除けの結界を張り、集落の入口では巨大なワラ人形が守りを固めています。

【1】玄関の上に細いワラが張られています。厄除けの結界で、古民家にも、新築の家にも見られます。
【2】道路を挟んで海側に納屋が並びます。かつては漁具置き場だったのですが、最近ではほとんどが車庫に転用されています。
【3】堤防の先に太平洋が広がります。白糠はイカ漁、コンブ漁で生計を立てる漁村です。

下北半島中東部の漁村、白糠。海辺に古い納屋や木造住宅が点在する風景は、いかにも「北国」といった郷愁にあふれています。現在では通りの西に主屋、東に納屋が並んでいますが、こうした景観が生まれたのは戦後のこと。道路の拡張にともなって主屋と納屋の間隔は10メートルほど広げられ、納屋はすべて新築されました。


広い土地に納屋が点在する

下見板張りの家。屋根は錆びているが木造の外壁に傷みは見あたらない
集落内の住宅はほとんどが木造で、外壁は下見板張り。外観に木部が多いのは、潮風による腐食から守るためでしょう。現にトタン葺きの屋根には赤錆びが目立ちましたし、部分的にペンキで塗装して腐食を防いでいる家もありました。

路地に沿って古い家が連なる

採集したコンブを干すための竿

白糠には珍しい習慣が伝わっています。それが、集落の北と南の入口を守る「ヤメボイ」というワラ人形。大人の人間と同じくらいの大きさです。その名は「病をボル(追う)」または「山へボル」が訛ったものだと伝えられています。要は疫病除けの人形というわけです。いまでも毎年4月末の祭礼のときに、村人総出で新調しているのだそうです。


集落の北を守るヤメボイ。刀と脇差を携えている


玄関にワラの結界が張られている
また、集落の家の多くが、ワラでつくった厄除けの結界を玄関に張っています。古い家ばかりでなく、新しい家や商店でも結界を張っているのが印象的でした。

集落の南、六ヶ所村との村境を守るヤメボイ


【住所】青森県下北郡東通村白糠(地図
【公開施設】なし

2013年7月14日撮影


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