宮舘
みやだて

津軽平野の庭園都市

弘前郊外の宮舘は、国指定名勝の瑞楽園のある街村。蛇行する道の両側に生垣と古民家が連なり、のどかな風景を見ることができます。

【1】道の両側にサワラの生垣が続きます。
【2】大棟に煙出しを載せた、津軽の典型的な民家が残っています。
【3】蔵は置き屋根のようですが、鉢巻きと屋根の間を真壁としているのが珍しいと思いました。

宮舘はその名のとおり、中世に城館の置かれた町。江戸時代には弘前藩が設けた行政区分25組のひとつ、高杉組に属しました。そこで庄屋を務めた對馬家の屋敷が、宮舘のシンボル。主屋は天保10(1839)年の建造と推定され、堂々たる茅葺き屋根をいただいています。


瑞楽園の主屋
瑞楽園は津軽地方に特有の「武学流」と呼ばれる庭園の好例として、国の名勝に指定されています。もともと津軽は庭園の多い土地柄ですが、屋敷を区切る生垣の美しい集落も多く、ここ宮舘も全体に緑があふれています。まさに町そのものが庭園といった様相です。

宮舘の民家は、ほとんど茅葺きだったと思われますが、現在も茅屋根を見せているのは瑞楽園のみです。そのほかはトタンで覆われていますが、津軽民家に特徴的な煙出しなどの構造は維持しています。また、せいがい造りの家も多く、右写真の家はなんと三重せいがいとなっています。


宮舘の古民家


トタンで覆われた寄棟民家が多い


柱の多い建物。納屋のようだが?

宮舘の土蔵。置き屋根の下に壁を設ける
宮舘では土蔵も特徴的です。日本の土蔵は置き屋根(二重屋根)といって、壁や屋根を土で塗り固めた上に、独立した別の屋根を置くのが一般的。土蔵の屋根と置き屋根の間に空間を設けることで、通気性や断熱性が高まるといわれています。宮舘の土蔵も外観を見る限り、置き屋根だと思います。しかし置き屋根の下の空間を壁で塞いでいるのです。
同様の蔵は周辺でも見られ、「蔵の町」として売り出し中の平川市金屋でも少ないながら確認できました。なぜこのような姿をしているのか、興味深いですね。


【住所】青森県弘前市宮舘(地図
【公開施設】瑞楽園
【参考資料】
『角川日本地名大辞典(2)青森県』角川書店、1985年
『青森県の歴史散歩』山川出版社、2007年

2016年9月19日撮


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