弘前仲町
ひろさきなかちょう
-夏之景-
なぜ正対しないのか
仲町は弘前城の北側にある旧武家町。晴れた日には町並みの向こうに、津軽富士の愛称をもつ岩木山を望めます。 |
【1】サワラの生垣や板塀をめぐらせ、入口に門を構えた武家屋敷が並んでいます。 |
わたしの掲げる旅のモットーに「雪国は冬にかぎる」というものがあります。この思いのままに弘前や黒石などを訪れた過去2回の津軽旅は、いずれも雪の季節に敢行しました。今回、3度目にして初めて晩夏の津軽を堪能。青空の向こうで雄大な津軽富士、岩木山が出迎えてくれました。 |
弘前郊外から見た岩木山 |
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岩木山は古来、山岳信仰の対象となり、津軽藩にとっても守り神とされた聖山です。城下の町づくりでは、城を中心とする各街路の設計に際して岩木山への眺望が考慮されたといわれ、弘前仲町でも町並みの向こうに岩木山を見ることができます。 |
けれども、「なぜ道路の突き当りに山が見えるように設計しなかったのか」ということが疑問に感じられました。道路と山頂方向とのずれはおよそ13度。ものの本には次のように書かれています。〈ここでは街路は岩木山の山頂に対して正面ではなく若干ふれて置かれていて、町並みを前景に岩木山の雄姿を眺める構成である〉。 |
石場家住宅。夏のこみせは日除けの道 |
岩木山と反対側の町並み |
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3度目の津軽路では岩木山の眺望のほか、サワラの緑も堪能できました。サワラは冬でも葉を落とさない常緑樹ですが、晩夏の日差しに応えるかのように、いっそう青々として見えました。雪国では季節ごとに異なる味を楽しめるのですね。 |
旧梅田家住宅 |
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