藤枝
ふじえだ

カッチョが守る集落

冬季、日本海からの強風が吹きつける津軽半島の集落では、「カッチョ」と呼ばれる風除けを立て、家を守ってきました。奥津軽の藤枝は、伝統的な茅葺き農家とカッチョを見られる貴重な集落です。

【1】冬の季節風から家を守る板壁を「カッチョ」と呼びます。風は日本海側から吹きつけるため、ほとんどの場合、敷地の西に立てられます。
【2】藤枝集落にはいまも茅葺き民家が3軒残ります。そのうち2軒は集落の最北端で並び建ち、絶好の撮影ポイントとなっていました。
【3】大棟の上に煙出しのやぐらが乗ります。津軽の伝統民家の外見を特徴づける構造です。

青森県五所川原市は全国でも有数の「地吹雪発生地帯」。この過酷な環境を逆手に、観光アトラクションとして「地吹雪体験ツアー」が行われているほどです。ひどいときには腕を伸ばした先の手のひらさえ見えず、人々は顔に打ちつける雪を避け、後ろ向きに歩いていくのだとか。


延々と続く板の壁

集落の最も北にあった茅葺き民家

そんな過酷な地吹雪から家を守るのが津軽独自の板囲い、カッチョです。敷地への出入口となる部分を除き、高さ3〜4メートルほどの板を密に並べたものです。

最近では鉄製のカッチョへの付け替えが進んでいるほか、家そのものも茅葺きからトタン葺きへ、さらに新築の家へと、姿を変えつつあります。藤枝は文化庁による文化的景観の調査地にもなったくらいですから、おそらく津軽においては最も古い形態をとどめているのでしょうが、それでも茅葺きの家は3軒のみで、多くの家は建て直されていました。


やはりカッチョには茅葺きが似合う

輸入住宅とカッチョの組み合わせもおもしろいが…

集落の南にあった茅葺き民家。玄関が突き出ている
藤枝の伝統的な家は、玄関が突き出していて、そこに切妻の屋根を架けています。これは冬の間、衣服についた雪を玄関で叩き落してから家にあがるための工夫で、津軽地方はもちろん、全国の豪雪地帯で広く見られる構造です。

茅葺きの納屋

牛舎もカッチョで守られている


【住所】青森県五所川原市金木町藤枝(地図
【公開施設】なし

2013年2月10日撮影


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