サイト紹介

●開設の趣旨
 「町のかたち 村のかたち」では、これまでわたしが訪れた全国の伝統的な町並みや集落景観を紹介しています。
 わたしが伝統的な町並みや集落景観に惹かれるのは、そこには、はるか昔から受け継がれてきた生活と歴史が凝縮されていると思うからです。
 日本の町や村は、それが存在する土地の地形や気候、歴史的背景、産業、祭礼、習慣などの影響を受け、千変万化に変化してきました。
 一軒々々の家を見比べれば屋根のかたちや出入口の造作が異なりますし、町や村の全体像では道路や水路の引き方、建物の配置、山や川との位置関係などが異なり、ひとつとして同じものはありません。そこには見事なまでに地域性が表れています。

 しかし戦後になって新建材・新工法が普及すると、画一的な町づくりや都市開発が進められるようになり、多くの歴史的景観が姿を消していきました。先人の知恵と技術の集積だった古民家も、次々と潰されてしまったのです。
 わたしは2002年以降、主に重要伝統的建造物群保存地区(国が定めた町並み保護区。略して重伝建)を観光してきましたが、あるとき「重伝建は放っておいても30年や50年は生き延びる。むしろいま見ておくべきなのは重伝建から漏れた地域ではないか? そういった地域には1年後の存続さえままならないものもあるのではないか?」と考え至りました。
 そんな思いで全国を訪問していくと、歴史的景観がものすごいスピードで失われているのを目の当たりにしました。本やインターネットサイトで見た町並みが失われていたり、地元の人から「そこに江戸時代の家があったんだけど、何年か前に取り壊しちゃってねぇ」という話を聞いたり。

 旅先での経験を通じて思ったことは、「いまは日本の町のかたち、村のかたちを記録できる最後のチャンスかもしれない」ということ。これが、当サイト開設の動機となりました。
 とはいえわたしは建築に関してはまったくの素人です。町や村の「かたち」といっても、どのように見ればいいのかさっぱり分かりません。そこで当サイトの開設にあたっては、各地の集落や建築を扱った書籍や論文、自治体の調査報告書、観光案内などを参照し、ときには地元の人にも話を聞いて大いに学ばせていただきました。
 そのうえで、町や村を見る際に重要だと感じた「3つのポイント」を抽出し、各地域を紹介することにしました。よく『図解 名画の見方』といった本がありますよね。あれの町並み版をつくりたかったのです。
 ちなみにいえば、当サイトの町・村紹介ページの体裁は朝日新聞の水曜夕刊の連載企画「美の履歴書」のフォーマットを規範にさせて(というか、パクらせて)いただいております。末筆ながらRespect for the Asahi Shimbunと申し述べ、趣旨説明を締めさせていただきます。


●お断り
 上記の通り、わたしは建築に関しては素人です。文章作成にあたっては、しかるべき資料をあたりましたが、「そもそも資料の読み違いをしている」ということがないとは言えません。
 また、たとえば古民家のかつての用途に関しては資料がないものがほとんどですので、「2階建てで手すりが付いているから、旅籠だったのでしょう」などと、勝手な想像を文中に加えています。(ほとんどの場合、わたしの思い込みや想像による部分は、そうであると分かるように表現しておりますが……)。
 家のサイズに関しても、「間口○間」と数える際に、数え間違いをしている可能性もあります。
 もしも当サイト中の間違いに気付かれましたら、お手数ですがご一報いただけると助かります。


●連絡先
名前/URANO
メールアドレス/machinokatachi★gmail.com
※お手数ですが★を@に打ち直してお送りください

2015年2月6日


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